【イラストで学ぶ身近なリスクと対策】第29回 積載形クレーンの接触災害
1.はじめに
残暑の項、太陽暦の8月7日ごろは立秋で、立秋とは名ばかりの暑さがしばらく続きます。8月は「電気使用安全月間」、8月30日~9月5日は「防災週間」〔9月1日は防災の日〕。
毎年この時期に思い出す忘れられない大事故といえば、1985年(昭和60年)8月12日の「日本航空のジャンボ機が群馬県御巣鷹の尾根(標高1565m)に墜落」です。乗客524人のうち、死亡者520人・生存者4人〔全員女性〕でした。
今回のテーマは、「積載形トラッククレーンが送電線に接触」にします。
なお、積載形クレーンが「防護管なしの配電線(6600V)に接触災害」は、当連載の2021.2.1に記載しました。
【ジブ先端に放電して被災】
2.積載形トラッククレーンが送電線に接触災害2事例
【災害1】積載形クレーン〔*1〕のジブ先端が送電線に接触し、クレーン操作者と玉掛け者が感電。
〔*1〕つり上げ荷重2.63t・4t積・5段ブーム〔*2〕積載形トラッククレーン〔以下、積載形クレーン〕。
〔*2〕空車時定格総荷重(or最大)作業半径10.6m・160kg。地上揚程(フック下)12m・作業半径2.5m。
〔作業の状況〕旧河川敷の資機材置き場の最奥は、鉄塔間の送電線(1万3800V)が高さ10~11mで垂れ下がり、境界には暴風林の松の木が茂っていた。台風のとき、送電線が横振れして接触していたので、急きょ送電線近傍の松の木を伐採することになり、事業場内の造園会社に伐採を依頼した。作業者は…
執筆:中野労働安全コンサルタント事務所 所長 中災防安全衛生エキスパート 中野 洋一
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