【解雇無効時の金銭救済制度 委員が深掘り!検討会報告書】最終回 金銭債権の関係性 “充当の特則”も一案 バックペイ履行確保へ/神吉 知郁子
2022.07.21
【労働新聞】
地位確認訴訟は併合提起が可能
労働契約解消金とは、その支払いによって労働契約が解消されることを前提とした名称ではある。もっとも、労働契約の解消が労働契約解消金の支払いのみで成就するかは、別の問題として位置付けられる。現在の解雇訴訟においては、解雇が無効と判断されると、労働契約上の地位そのものの確認だけでなく、解雇期間中の賃金(民法536条2項に基づいて認められるバックペイ)の請求が認められることが非常に大きい。無効な解雇について金銭での救済制度を設けた場合には、地位確認請求との関係とならんで、労働契約解消金とバックペイという2つの金銭債権の関係が問題になる。
また、解雇の違法性を争う形態として、これまでも解雇無効・地位確認ではなく、不法行為を理由とする損害賠償のみが請求された事案もあった。その内容は、…
筆者:東京大学大学院 法学政治学研究科 准教授 神吉 知郁子
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令和4年7月25日第3362号11面 掲載