【裁判例が語る 安全衛生最新事情】第398回 大器キャリアキャスティング、ENEOS事件 兼業によるうつで安配義務違反認めず 大阪地裁令和3年10月28日判決

2022.08.10 【安全スタッフ】
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Ⅰ 事件の概要

 原告Xは、給油所の作業員である。Xは、被告Y1社に有期雇用されて、Q2社がQ1社から委託を受けて、再委託を受けたY1社の従業員としてセルフ式による給油所A店、B店の深夜早朝業務を行っていた。その後、Xは、Q2社が第三者(Q3社)から委託を受けた給油所C店においても夜間運営業務に従事した。さらに、Xは、Q1社との間で有期労働契約を締結して、A店、B店における深夜早朝業務以外の時間帯に就労するようになった。

 Y1社は、その管理職Pは、Xに対して過重労働になるから、自身の体調を考えて休んでほしいと、Q1社での勤務を辞めるように指示した。そして、Xは、Q1社に対して平成26年6月末に退職届を提出して退職した。そのうえで、Y1社は、他の従業員の出番を奪って働かないという趣旨の業務指示書を作成し、これに署名押印しない場合には今後勤務させることはできないといい渡したが、Xはこれに署名押印しなかったので、Y1社はその後Xを業務に就かせず、平成27年3月31日付でY1社との雇用契約は終了した。

 Xは、うつ病・適応障害などの診断を受けて、所轄労働基準監督署長に労災請求をしたところ、平成27年11月30日、労基署長は休業補償、療養補償給付の決定を下した。その後、Y2社は、Y1社とQ1社を吸収合併したところ、XはY2社に対して安全配慮義務違反を理由とする損害賠償請求を起こすとともに、Y1社に対して雇い止めの無効を理由とする労働契約上の地位の確認などを求める請求を起こした。

Ⅱ 判決の要旨

1、原告Xの労働時間数

 Xの欠勤前の労働時間数はQ1社の業務、Y1社の業務を合計すると、…

執筆:弁護士 外井 浩志

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2022年8月15日第2408号 掲載
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