【社労士が教える労災認定の境界線】第344回 掛け持ち勤務による過労で精神疾患
2022.08.29
【安全スタッフ】
災害のあらまし
労災請求人であるAは、日中は、カフェチェーンH社の店長として勤務、昼の仕事が終わると夜間は、宅配・デリバリーのアルバイトとして働いていた。H社とF社の労働時間を通算すると、月の時間外労時間数は100時間超だった。コロナ禍による影響でカフェの売上げが下がり、店舗責任者としての歩合給や報奨金が減り、生活費を少しでも補填するために1年前から仕事を掛け持ちし、週3~4日程度深夜勤務を行う生活が続いていたところ、精神疾患を発病した。
発症直前に、H社の業務で、自身の店舗の売上げが回復しないことにより、本社エリア統括責任者から強い指導・叱責があったという事実も確認されている。なお、H社とF社の事業主は同一人でない労働契約である。
判断
社員Aの働き方が、H社とF社の労働時間を合算すると、恒常的な長時間労働(月100時間を超える時間外労働)が認められるとされ、業務上の労災と認定された。…
執筆:一般社団法人SRアップ21 東京会
社会保険労務士 小泉事務所 所長 小泉 正典
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2022年9月1日第2409号 掲載