【元労働基準局長が解説!フリーランスと労働者性】第9回 独占禁止法等の適用 書面不交付はNGに 12個の違反行為類型示す/中野 雅之
2022.09.01
【労働新聞】
前回までは、労働基準法上および労働組合法上の労働者性について取り上げてきた。今回は、フリーランスへの独占禁止法等の適用などについてみていくこととする。
競合する場合は下請法が優先に
第2回で説明したように、労働基準法上および労働組合法上の労働者性の双方が認められないケースや、労働基準法上の労働者性は認められないが労働組合法上の労働者性は認められるケースでは、独占禁止法・下請法の適用がなされ得る。
独占禁止法は、不公正な取引方法として優越的地位の濫用を禁止している。違反の場合は公正取引委員会の排除措置命令、課徴金納付命令の対象となるとしている。
これに対して、独占禁止法の特別法・補完法である下請法は、「優越的地位」という要件ではなく、「資本金1000万円超法人の事業者」の個人への役務提供委託等の外形的・形式的な基準によって規制対象を明確化する一方で、違反の場合は、排除措置命令や課徴金納付命令という強い行政処分を行うのではなく、公正取引委員会が「勧告」という行政指導を行う仕組みとなっている(中小企業庁長官が事実を調査し公正取引委員会に措置を請求する仕組みもある)。この「勧告」に従ったときは、…
筆者:岩田合同法律事務所 弁護士 中野 雅之
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令和4年9月5日第3367号13面 掲載