【ダイバーシティ経営の意義と実践】第2回 ダイバーシティ前史 均等法施行が原点に 経済的視点からも進展/伊岐 典子
2022.10.13
【労働新聞】
99年改正で禁止を徹底
今回は、ダイバーシティ前史として、この概念が日本で広がるまでの女性の活躍に関する動きを振り返ってみたい。
女性の働き方の大きな変化のきっかけとなったのは、なんといっても1986年施行の男女雇用機会均等法であろう(図)。均等法は、79年に国連で採択された女子差別撤廃条約の批准のための条件整備として、それまでなかった雇用の分野での男女平等についての規定を新設するもので、労働基準法の女性保護規定の緩和とともに、労使に大きな意見の隔たりがあるなか法案化された。そのため、成立した均等法で実際に女性差別が禁止されたのは、定年・退職・解雇のほか一部の教育訓練、一部の福利厚生だけで、女性が企業で活躍するために不可欠な要素である募集、採用、配置および昇進については、均等取扱いの努力義務が規定されたに過ぎなかった。一方、労働基準法には、緩和されたとはいえ、残業や休日労働についての女性保護規定が残されていた。また、この時の均等法には、事実上生じている男女格差を解消する目的で企業が行う積極的取組み、すなわちポジティブアクションは組み込まれていなかった。…
筆者:21世紀職業財団 会長 伊岐 典子
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令和4年10月17日第3372号13面 掲載