【対応力を鍛える人事学探究】第9回 休職事由の消滅 立証責任の所在焦点 労働者側が原則負う/西頭 英明
2022.11.04
【労働新聞】
「試し出勤」中うつが回復?
「休職事由の消滅」に関する主張立証責任につき判示した、綜企画設計事件(東京地判平28・9・28)を紹介する。本件は、建築工事の企画・設計などを行う会社で、建築設計技師として期間の定めのない雇用契約を締結した労働者が、うつ病となって休職し、休職期間満了前に主治医からの「復職可」とする診断書を提出したため、復職可否の最終審査を行うために3カ月間の「試し出勤」を行った事案である。会社は、試し出勤期間中の勤務状況をみて、休職事由となったうつ病の治癒が認められなかったと判断し、試し出勤期間満了による退職措置の通知と解雇の意思表示をした。労働者は、退職措置と解雇は無効と主張し、労働契約上の地位確認を求めた。
本件は、退職措置の法的性質、「試し出勤」の法的性質、休職事由の消滅(治癒)の有無など、複数の論点がある。裁判所は、…
筆者:第一芙蓉法律事務所 弁護士 西頭 英明
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令和4年11月7日第3375号12面 掲載