【対応力を鍛える人事学探究】第10回 前例のない育休申出 可能な限り対応を “取得妨害”との判断防ぐ/東 志穂
2022.11.10
【労働新聞】
未婚男性社員から申請あり
前例のない育児休業の申出があった場合に参考になる裁判例として、三菱UFJモルガン・スタンレー証券事件(東京地判令2・4・3)を紹介する。
本件は、男性労働者が育休の取得を妨害されたなどとして、不法行為ないし債務不履行による損害賠償を請求した事案である。労働者は、証券会社で機関投資家営業部の戦略職として雇用されていた特命部長であったところ(以下「部長」という)、海外にいる婚姻していないパートナーとの間にできた出生前の子を対象として、育休申請書を提出した。会社は、前例のない申出であったことから部内で検討し、部長の申出事項だけでは子との間の法律上の親子関係があることは確認できないとして、出産予定日証明書の提出を求めた。
これに対し、部長は証明書の提出を拒否した。その後、…
筆者:第一芙蓉法律事務所 弁護士 東 志穂
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令和4年11月14日第3376号12面 掲載