【ぶれい考】企業倫理と労働法/野川 忍
2022.12.01
【労働新聞】
近年、SDGsやESG(環境・社会・ガバナンス)など、企業活動に対して社会的観点からの評価の指標となり得る新しい概念が登場し、今後の融資の指標や投資の可否などを判断する際の重要な要素とされるなど、企業の基本的な方向を決定付けるほどの影響が表れている。21世紀になってから、PRI(責任投資原則)発足を契機に、環境や社会的課題などを重視する経営姿勢が企業に求められる傾向が強くなっているが、SDGsもESGも、その具体的な表れとして注目されよう。そこに示されているのは、企業活動もまた正義や平和などの理念的基盤に裏付けられねばならず、ひいてはそれが活発な投資や豊かな市場の実現にも資する、という国際的認識の定着である。
このように企業活動を理念的に基礎付けようとする動きは、…
筆者:明治大学専門職大学院 法務研究科 専任教授 野川 忍
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令和4年12月5日第3379号5面 掲載