【特別寄稿】化学物質規制で新展開 自律管理導入し労災防止へ/中原 浩彦
2022.12.26
【安全スタッフ】
化学物質による労働災害は後を絶たず、がんなどの遅発性疾病も報告されている。厚生労働省では、化学物質による労働災害を防止するため、労働安全衛生規則などの一部を改正した。新たな化学物質規制のあり方として、段階的に自律管理が導入されることになっている。特別寄稿では、NAOSHコンサルティングの中原浩彦代表に今後の化学物質規制のポイントとなる自律管理について解説いただいた。中原代表は、状況に応じた対策を決めることができる自律管理が浸透することで、労働災害の減少が期待できるとしている。
人生100年時代で慢性疾患が顕在化
化学物質管理について、読者の皆さんはどういうイメージを持っているだろうか? 転落・転倒・巻き込まれなどのケガに比べて化学物質起因の労災は少ないし、対策の優先順位は高くないと考えている安全管理者も多いのではなかろうか。
ところが、英国健康安全庁HSEの2022年の労災統計によると、英国では、労働疾病で年間1万3000人が亡くなっており、そのうち1万2000人が過去の化学物質や粉じんなどばく露が原因の、COPDや肺がんといった肺疾患で亡くなっていると報告している。一方、ケガによる死亡災害数は、…
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2023年1月1日第2417号 掲載