【裁判例が語る安全衛生最新事情】第276回 仁和寺事件 過去の精神障害による過失相殺せず 京都地裁平成28年4月12日判決
2017.06.27
【安全スタッフ】
Ⅰ 事件の概要
被告Y寺は、当地で寺院を所有・管理するだけでなく、宿泊、飲食、会場貸、土地販売などの旅館業(御室会館)を行っており、原告Xを含む約30人の労働者が旅館業務に従事していた。
原告Xは、調理師として平成16年に被告Y寺に雇用されて、会館での調理業務に従事していたが、平成17年4月から料理長となった。料理人は多いときはXを含めて3人いたが、宿泊客は1月当たり、平均で700人程度で、レストランの営業も少なくとも月500食程度、多いときは約3000~3500食に及ぶときもあった。この調理部門の責任者はXであり、シフトの決定、メニューの決定、食材の選択などを行っていたが、重要事項は支配人やY寺の決裁が必要であった。…
執筆:弁護士 外井 浩志
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平成29年7月1日 第2285号 掲載