【連合・2023春季生活闘争方針(抜粋)】デフレマインドを断ち切りステージの転換実現へ
ステージを転換し望ましい未来をつくっていくことが必要――。連合は2023年、定昇相当分を含めて5%程度の賃上げを要求する方針で臨む。デフレマインドが根強く残るなかでの物価上昇を懸念し、国際的に見劣りする賃金水準や実質賃金の停滞を憂慮している。引き続き3本柱で構成する「賃金要求指標パッケージ」を示し、中小組合にはベア9000円、総額1万3500円以上との目安を示した。
Ⅰ 意義と基本スタンス
1 「未来づくり春闘」でデフレマインドを断ち切り、ステージ変えよう
世界経済はコロナ禍のマイナス成長から回復を続けてきたが、ロシアのウクライナ侵攻や米中関係の変化など不安定な国際情勢のもとで、欧米主要国ではインフレが進行しており景気後退に入る可能性もある。
わが国においても働く人の暮らしは厳しさを増しているが、欧米主要国と比べ、個人消費が低迷しコロナ禍からの回復スピードが遅い、また、急性インフレと慢性デフレが重なっているなど、状況に違いがある。企業・家計のデフレマインド(長きにわたるデフレの経験によって定着した、物価や賃金が上がりにくいことを前提とした考え方や慣行)が根強く残っている中での輸入物価の上昇は、家計においては賃金が物価上昇に追いつかないなど、企業部門においては適切な価格転嫁が進まないなどの問題を引き起こしている。
それぞれの企業・個人が短期的な自己利益を追求していけば、スタグフレーション(不況下の物価高)に陥りかねない。社会全体で中期的・マクロ的な視点から問題意識を共有し、GDPも賃金も物価も安定的に上昇する経済へとステージを転換し望ましい未来をつくっていくことが必要だ。(略)
経済の後追いではなく、経済・社会の原動力となる「人への投資」をより一層積極的に行うとともに、国内投資の促進とサプライチェーン全体を視野に入れた産業基盤強化などにより、日本全体の生産性を引き上げ、成長と分配の好循環を持続的・安定的に回していく必要がある。変化する環境の下にあるからこそ、産業・企業の将来展望を話し合い、未来に向けた労働条件決定をしていかなければならない。
今次闘争では…
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