【裁判例が語る安全衛生最新事情】第408回 日和住設ほか事件 業務の過重性軽減せず注意義務怠る 札幌地裁令和3年6月25日判決
2023.01.11
【安全スタッフ】
事件の概要
被告Y1社は、暖房設備工事などを業務とする会社であり、亡Aはその従業員であった。
亡Aは平成11年ごろからY1社に就職し手作業に従事していた。平成23年に一旦退職して個人事業主になったが、平成24年8月1日から再度Y1社に就職し、同年12月22日まで勤務していた。退職したのは、12月22日に上司から業務上のミスを指摘されてその上司と口論になり、職場放棄して出社しなくなったからである。退職後の平成25年4月に自殺した。
Y1社に復帰後おける勤務の時間外労働の状況は、平成24年8月1日から22日までは52時間40分、8月23日から9月21日までは71時間15分、9月22日から10月21日までは114時間30分、10月22日から11月20日までは122時間15分、11月21日から12月20日までは100時間5分であった。特に最後の3カ月間は100時間以上の時間外労働をしており、さらに、仕事についての上司との衝突もあり、心理的負荷は強く、うつ病または適応障害の状況であった。
亡Aは、退職後の平成25年4月13日に自殺した。遺族である妻X1、2人の子どもX2、X3は、Y1社および代表取締役Y2に対して損害賠償請求訴訟を提起した。
判決の要旨
1、長時間の時間外労働
亡Aは、…
執筆:弁護士 外井 浩志
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2023年1月15日第2418号 掲載