【裁判例が語る安全衛生最新事情】第410回 アムールほか事件 委託先にセクハラで安全配慮義務違反 東京地裁令和4年5月25日判決
事件の概要
原告Xは、ウェブサイト上の記事を執筆するアルバイトをしており、将来的にはフリーランスの美容ライターとして生計を立てることを計画していた。
被告Y1は東京中央区にエステティックサロン(本件店舗)を経営している会社であり、被告Y2はその代表者である。
本件店舗は、手技やEMS(皮膚に直接に貼付したパッドを通じて電気刺激を直接筋肉に与えることで筋肉を動かし、トレーニングを行う機器)などの機器を用いて施術を行う女性専用のエステティックサロンであり、Y2が自ら全ての顧客に対する施術を行っている。
XとY1社は、ウェブサイトの運用に関する業務委託契約を締結したが、Y1社からその報酬(月額15万円)がなかなか支払われないために、Xは労働組合に加入し、その報酬を請求したが支払われなかった。また、代表者Y2からXがその施術を受ける過程で、わいせつな行為などを要求された。Xは、報酬が円滑に支払われないこともあり、Y2からの性的な要請に対してある程度は応じざるを得ず、その結果、うつ状態に陥ってしまった。
Xは、業務委託契約による報酬を求めるとともに、セクハラまたはパワハラ行為によりうつ状態に陥ったとして、Y1社、Y2に対して不法行為責任または安全配慮義務違反による損害賠償請求訴訟を提起した。
判決の要旨
1、代表者Y2によるセクハラ・パワハラ行為
XがY2から受けたセクハラ・パワハラ行為には、次の①~⑩が認定できる。…
執筆:弁護士 外井 浩志
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