【対応力を鍛える人事学探究】第21回 呼出待機の労働時間性 指揮命令下か焦点に 導入の際はよく検討を/髙木 美咲穂
2023.02.09
【労働新聞】
終業後に交替で電話番担当
今回は、機械式駐車場のメンテナンス業務に従事していた労働者が、顧客からメンテナンス依頼がある場合に備え、終業時刻後翌日の始業時刻までの間に当番制で携帯電話を所持し、顧客からの連絡に応じ現場で対応していたところ、電話当番の際の待機時間の労働時間性が争われたシステムメンテナンス事件(札幌高判令4・4・25)を紹介する。なお、電話後の現場への移動時間および実際に業務を行った時間は労働時間であるとして、賃金が支払われていた。
休憩時間とは、単に作業に従事しない手待時間を含まず、「労働者が権利として労働から離れることを保障されている時間」をいう(昭22・9・13発基17号、大星ビル管理事件〈最判平14・2・28〉)。対して、労働時間とは、「使用者の指揮命令下に置かれている時間」をいい、労働時間に該当するか否かは、労働者の行為が、客観的にみて、使用者の指揮命令下に置かれたものと評価することができるか否かにより判断される(三菱重工業長崎造船所事件〈最判平12・3・9〉など)。
同事件で問題となった、…
筆者:第一芙蓉法律事務所 弁護士 髙木 美咲穂
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令和5年2月13日第3388号12面 掲載