【社員がなじむ組織へ オンボーディング実践術】第7回 中途入社者が直面する6つの課題 経験者にも支援必要 同職種でもやり方違う/尾形 真実哉
2023.02.24
【労働新聞】
慣習が職務遂行に影響
新卒入社者に比べて、経験者採用で入社した中途入社者に対するオンボーディングに力を入れている企業は少ない。「中途入社者は社会人経験を有しているから、とくにサポートは必要ないだろう」という思い込みから、中途入社者がどのような課題を抱え、苦しんでいるのかということに対して目を背けてしまうのである。
そこで今回は、中途入社者が組織になじむうえで直面する6つの課題を提示し、中途入社者の組織適応の困難さを示していきたい。
1つ目の課題は、「スキルや知識の習得」である。中途入社者であれば、営業職は転職先でも営業職となり、製品開発の技術者は転職先でも製品開発に携わる――というように、前職と同様の仕事に就くパターンが多い。しかしそのような場合でも、会社が異なれば、扱う製品、仕事の内容、仕事のやり方、仕事の進め方は大きく異なり、新たに知識やスキルの習得が求められる。
2つ目は、「暗黙のルールの理解」である。会社にはその会社固有の文化や慣習があり、目にみえない暗黙のルールも存在している。仕事上、体感しているものや言葉にできない慣習などは習得に時間がかかり、目にみえる規則以上に職務遂行に影響を及ぼす。高いパフォーマンスを求められる中途入社者は早急に理解しなければならない。
この暗黙のルールは、…
筆者:甲南大学 経営学部 教授 尾形 真実哉
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令和5年2月27日第3390号11面 掲載