【裁判例が語る安全衛生最新事情】第411回 在日米軍厚木航空施設事件 米軍のパワハラで国に安全配慮義務 東京地裁令和3年11月22日判決
2023.02.27
【安全スタッフ】
事件の概要
原告Xは、被告国(Y)との間に労働契約があり、日米安全保障条約に基づき、日本に駐留するアメリカ軍隊の海軍厚木航空施設後方支援部に所属する「軍人および海軍支援センター(「FFSC」)」において勤務していた。
ところが、FFSCの上司Cからの叱責を受けて休職し、さらに復帰後、上司であるDから別の業務を割り当てられ、さらに、施設内海軍統合人事部厚木支所などに相談したにもかかわらず、十分な調査を受けることなく、結局は適応障害となり、退職を余儀なくされた。
Yは、駐留軍など労働者をアメリカ軍隊および諸機関に提供する間接雇用方式を実施するため、米軍との間で労務提供契約を締結しており、その労務提供契約の1つが、基本労務契約である(MLC)。
Xは、厚木労基署に対して、FFSCにおけるCからのパワハラによって適応障害を発症したとして労災請求をして支給決定を受けた。
その後、平成31年2月12日、Xは、民事特別法1条、国家賠償法1条1項を理由として、国Yに対して不法行為による損害賠償請求、または、民法415条に基づく債務不履行責任を理由として、国Yに対して損害賠償請求を起こした。
判決の要旨
1、上司Cの言動について
(叱責1)平成25年10月、FFSCのセンター長Cは、…
執筆:弁護士 外井 浩志
この記事の全文は、安全スタッフの定期購読者様のみご覧いただけます。
▶定期購読のご案内はこちら
この連載を見る:
2023年3月1日第2421号 掲載