【迫る2024年4月 運送業の時間管理~荷主対策・処遇向上~】第10回 賃金を維持する対策 業績給で減額抑える “頑張り”を処遇に反映/小山 雅敬
2023.03.16
【労働新聞】
減少幅に生じる
ある運送会社の労働組合役員に「もし労働時間短縮とともに賃金が減少したらどう思うか?」と尋ねたことがある。「労働時間が減るのは良いが、給料が減るのは大反対」との回答だった。「もし賃金が減ったらどうするか?」の問いには「そうなれば他社に転職するか、この仕事(ドライバー)を辞めるだろう」と答えた。さらに「皆、2024年から賃金が減るのではないかと不安に思っている。社員は会社の方針を聞きたがっている」と訴えた。これが大半のドライバーの本音だろう。
中小運送会社の現場では、労働時間の短縮を喜ぶ声はあまり聞かれず、収入面の不安の声ばかりが聞こえてくる。現在の運送業の最優先課題は人材確保であり、2024年に向けて離職を招くことがないよう十分留意する必要がある。
2024年対策の成否は賃金水準維持の結果にかかっている。もし何も対策をせずに労働時間を削減した場合、賃金にどの程度の影響が現れるかを検討してみたい。仮にドライバーが100時間の時間外労働をしていたとして、これを60時間の時間外労働に削減した場合、どの程度賃金が減少するかを固定給体系と業績給体系の場合に分けて試算する。賃金総額をいずれも40万円と仮定すると、表のようになる。…
筆者:㈱コヤマ経営 代表取締役 小山 雅敬
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令和5年3月20日第3393号6面 掲載