【裁判例を踏まえた非典型労働時間制の要点】第2回 裁量労働制の問題点 時代に合った制度か 対象業務拡大は不十分/岡芹 健夫
業務遂行は労働者裁量に委ねられる
第1回でも触れたが、来年(令和6年)4月1日に、裁量労働制(労働基準法〈以下「労基法」〉38条の3、4)が改正される見込みである。第2回はまず、裁量労働制の内容を簡単にまとめるとともに、現行制度の問題点について触れておくこととする。
裁量労働制とは、法所定の業務について労使協定でみなし労働時間数を定めた場合には、当該業務を遂行する労働者については、実際の労働時間数にかかわりなく協定で定める時間数労働したものとみなすことができる制度である(菅野和夫『労働法第12版』545ページなど)。
裁量労働制には専門業務型裁量労働制(労基法38条の3)と企画業務型裁量労働制(労基法38条の4)があり、簡単にいえば、前者は、業務の性質上、その業務の遂行の手段と時間配分の決定につき労働者の裁量に委ねることが妥当として厚労省令(労働基準法施行規則24条の2の2第2項)などで定められた19の業務を対象として認められる制度である。対象業務としては新商品・新技術の研究開発または人文科学・自然科学に関する研究の業務や情報処理システムの分析または設計の業務、新聞・出版の事業における記事の取材・編集の業務または放送番組の制作のための取材・編集の業務などが掲げられている。
後者は、事業に関する企画・立案などの業務で、その遂行を労働者の裁量に委ねる必要がある業務を対象として認められる制度である。
現在、裁量労働制の利用は…
筆者:髙井・岡芹法律事務所 弁護士 岡芹 健夫
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