【裁判例が語る安全衛生最新事情】第414回 大阪府高校教員事件 過労に軽減策講じず注意義務違反 大阪地裁令和4年6月28日判決
Ⅰ 事件の概要
原告Xは大学を卒業後、民間企業等の勤務を経て、平成28年4月から被告Y府の府立高校で勤務した教員である。
Xは世界史担当の教員であったが、平成28年度はその他にも生徒会部に所属し、国際交流委員会の委員や、卓球部顧問、ラグビー部副顧問を務め、平成29年度はさらに1年生のクラス担任であった。
Xは、平成29年7月に産業医を受診したが「慢性疲労症候群」と診断され、さらに平成30年2月5日には別の精神科医師により「適応障害」と診断され、平成30年2月6日から同年3月13日まで病気休暇を、同月14日から同月31日まで病気休職扱いとなったが、同年4月1日より復帰した。
原告の労働時間であるが、判決によると、本件発症前6カ月間におけるXの時間外労働時間は、①平成29年6月21日~同年7月20日まで112時間44分、②同年5月22日~6月20日は144時間32分、③同年4月22日~同年5月21日は107時間54分、④同年3月23日~同年4月21日は95時間28分、⑤同年2月21日~同年3月22日は50時間58分、⑥同年1月22日~同年2月20日は75時間52分であった。
Xは過重な業務により長時間労働を余儀なくされたとして、Y府に対し、国家賠償法1条1項または債務不履行(安全配慮義務違反)に基づく損害賠償請求訴訟を提起した。
Ⅱ 判決の要旨
1、原告Xの過重負荷
本件時間外勤務時間は、…
執筆:弁護士 外井 浩志
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