【対応力を鍛える人事学探究】第30回 内部告発による解雇の有効性 従来の枠組みで判断 公益保護法施行後も/東 志穂
2023.04.13
【労働新聞】
保健所立入り受け即時解雇
内部告発を理由とする懲戒解雇が無効とされた例として、甲社事件(東京地判平27・1・14)を紹介する。本件は、高齢者向け配食サービス会社であるY社の店舗に厨房スタッフ(パートタイマー)として勤務していたXが、店舗の衛生状況などに問題があるとして保健所に通報したところ、保健所による抜き打ちの立入り検査の直後、同店舗の店長およびY社の取締役の両名から「通報者はお前だと分かった」などと告げられ、その場で即時解雇されたことから、解雇の有効性などを争った事案である。
裁判所は、本件解雇の理由の1つに、Xの内部告発があるといえるとした。正当な内部告発であれば、…
筆者:第一芙蓉法律事務所 弁護士 東 志穂
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令和5年4月17日第3397号12面 掲載