【裁判例が語る安全衛生最新事情】第416回 石綿肺(ニチアス羽島工場)事件 管理区分決定後の病態進行認める 岐阜地裁令和3年12月10日判決
2023.05.10
【安全スタッフ】
Ⅰ 事件の概要
亡Aは、B社の石綿製品製造工場で、昭和36年3月から勤務して、羽島工場の研究課において、石綿を使用した電気絶縁材、建築材料および組紐パッキングの品質改良の研究・開発に従事し、その後、昭和42年2月から昭和46年12月までの間、同工場の製造課において、同じく石綿を使用した乾式パネル(耐火板)などの生産係の主任として、製造管理や現場への指示・指導などの業務に従事した。
亡Aは、平成3年7月にじん肺管理区分管理2の決定を受け、その後も、平成6年6月、平成8年8月、平成9年8月および平成18年1月にも管理区分管理2の決定を受けた。
亡Aは平成9年7月にB社を退職した。平成18年12月に亡Aは悪性リンパ腫との診断を受け、平成19年3月から8月までの間、抗がん剤治療を受けて寛解したが、その後、再発し、平成20年2月2日悪性リンパ腫で死亡した。
亡Aの遺族である妻X1と子どもであるX2、X3は被告国(Y)に対して規制権限不行使によって石綿肺にり患して悪性リンパ腫で死亡したとして、国賠法1条1項により損害賠償請求をした。
Ⅱ 判決の要旨
1、亡Aのじん肺管理区分の変遷
X1らは、…
執筆:弁護士 外井 浩志
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2023年5月15日第2426号 掲載