【安全衛生カルテ―事業場指導の現場から―】第6回 石綿ばく露による健康障害(1)
2023.05.29
【安全スタッフ】
ばく露後30~40年を経て発症
石綿は、繊維状鉱物で物質としてのユニークさでは紡織性、引張強度、不燃・耐熱性、耐摩耗性、耐薬品性、耐腐食性、絶縁性、親和性、経済性など多くの分野で非常に優れた性能をもっている比類なき物質とされています。一方で、危険で複雑な物質であり、有害性の重篤さ、潜伏期間の長さ、被害の大きさ、測定・分析の難しさなどから世界で「最悪の殺人物質」「静かな時限爆弾」の別名が使われています。
石綿繊維にばく露後約30~40年後に石綿肺、肺がん、中皮腫などの代表的な疾病が発症するといわれています。図は、日本全体で1年間に石綿障害発生で業務上疾病と認定された件数と請求件数です。毎年約1000人が認定されています。…
執筆:(一社)日本労働安全衛生コンサルタント会東京支部顧問
労働衛生コンサルタント 山室 栄三
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2023年6月1日第2427号 掲載