【裁判例を踏まえた非典型労働時間制の要点】第8回 事業場外みなし労働時間制② 使用者に厳しい判断 自己申告の正確性考慮を/江本 磨依
2023.05.25
【労働新聞】
直行直帰が基本の営業職へ適用認定
当連載第7回では、事業場外労働のみなし労働時間制(労働基準法38条の2第1項)の要件や、「労働時間を算定し難いとき」に焦点を当て、阪急トラベルサポート(派遣添乗員・第2)事件(最判平26・1・24)の紹介を行った。本稿では、営業職員への同制度の適用が争われたセルトリオン・ヘルスケア・ジャパン事件(東京地判令4・3・30、東京高判令4・11・16)について、その他の裁判例も交えながら解説する。
本事案は、製薬会社の医療情報担当者(以下、「MR」)として、営業先である医療機関を訪問する外回りの営業業務を行っていたXが、Y社は勤怠システムの導入後、MRにも始業時刻および終業時刻を打刻させていたことなどから、「労働時間を算定し難い」とはいえず、事業場外労働みなし制の適用はないと主張したものである(表)。…
筆者:髙井・岡芹法律事務所 弁護士 江本 磨依
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令和5年5月29日第3402号6面 掲載