【裁判例が語る安全衛生最新事情】第418回 静岡県警自殺事件 労災認定基準に全面的に則り判断 広島地裁福山支部令和4年7月17日判決
2023.06.12
【安全スタッフ】
Ⅰ 事件の概要
被災者亡Aは静岡県警に在籍する警察官であり、平成15年4月に入職し、下田警察署の乙交番に交番長として勤務していた。乙交番では交番長を含む各勤務員が3班に分かれて、班ごとに、当直、非番および週休(または日勤)の各勤務を繰り返す3交代制の勤務形態がとられていた。亡Aは、交番長として勤務していたが、平成24年3月12日、自動車内で練炭を焚いて一酸化炭素中毒により自殺した。
遺族である妻X1が地方公務員災害補償基金に公務災害の申立てをしたところ公務外の決定であったが、審査請求すると地方公務員災害補償基金静岡県支部審査会は逆転で公務災害とする裁決を下した。補償金額は約3483万円、遺族特別支給金約313万円、遺族特別援護金1860万円、遺族特別給付金約684万円、葬祭補償約118万円が支給されている。
そのうえで、原告X1と子X2は、被告国を相手として、安全配慮義務違反による債務不履行として損害賠償請求をした。
Ⅱ 判決の要旨
1、亡Aの長時間労働
亡Aは…
執筆:弁護士 外井 浩志
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2023年6月15日第2428号 掲載