【過重労働解消へ!時間限定正社員を考える】第1回 長時間労働のメカニズム 目標必達規範が問題 褒貶通じて労働者へ作用/寺井 基博

2023.06.15 【労働新聞】
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 中小企業にも「時間外労働の上限規制」や月60時間を超える時間外労働の割増率を50%以上とする規定が適用されるようになった。統計上の労働時間は減少傾向にあるものの、それはパート有期雇用労働者の増加による影響が強く、正社員の実労働時間は必ずしも減少していない。長時間労働是正の取組みはなおその途にあり、その実質は企業実務に委ねられている。そこで、4回の連載のなかで長時間労働が生じる原因を整理し、企業による実務的な取組みの方向性――ジョブ型の是非や時間限定正社員の活用など――を検討したい。

 長時間労働の原因として、「管理職の意識・マネジメント不足」、「人手不足による業務過多」、「長時間労働もやむを得ないという人事制度・社内風土」などがしばしば指摘される。これらの諸要因の関係性を考えると、「長時間労働もやむを得ないとする人事制度・社内風土」があるから「管理職の意識やマネジメント不足」が生じ、その結果として「業務過多」という結果が生じることになる。したがって、「長時間労働もやむを得ないとする人事制度・社内風土」が根本的な原因といえるだろう。では、なぜこうした人事制度や社内風土が形成されるのか。人事制度と社内風土の双方からその理由を考えてみたい。

 まず人事制度に関しては、…

筆者:同志社大学社会学部 准教授 寺井 基博

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令和5年6月19日第3405号13面 掲載
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