【社労士が教える労災認定の境界線】第354回 バイクで配達中に不注意で事故
災害のあらまし
新聞販売店の会社に勤務するAは、会社のバイクに乗って朝刊の配達をしていた。次の配達先が道路の向かい側にあり、道路を直進して横断しようとした。その際、1台のバイクが前を通り過ぎた後だったため、大丈夫だと思って左右を見ずにバイクを発進させた。すると、もう1台バイクが横から走ってきて衝突した。Aは右手を骨折。相手は両手首を骨折し、Aよりも重傷となった。相手側は2人でツーリングをしていたようである。もう1人が救急車を呼び、2人とも救急搬送された。
朝5時ごろと早い時間帯で、普段はあまり車やバイクは通らないことから、Aは1台バイクが通り過ぎた後の確認を怠って飛び出した。普通に左右を目視すれば防げた事故である。約3カ月の労務不能となる休業で通院加療を要する見込みとなった。
判断
相手から追突された交通事故だったが、A側の不注意のため過失割合が9割となり労災の申請を行った。労災保険給付の原因である事故が第三者の行為などで生じる第三者行為災害届を提出し、業務上と認められた。
解説
労災認定となる「労働災害」とは「労働者の業務上の負傷、疾病、障害または死亡」であり業務上である判断は、災害が業務に起因し(業務起因性)、災害が業務の遂行中に発生し、労働者が事業主の支配ないし管理下にある状態で発生したものであること(業務遂行性)とされている。
今回のように相手がいる労働災害の場合、…
執筆:一般社団法人SRアップ21 兵庫会
社会保険労務士 夢野事務所 所長 夢野 智行
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