【裁判例が語る安全衛生最新事情】第419回 エスジーコーポレーション事件 過労死で喫煙による過失相殺2割 東京地裁令和3年10月28日判決
2023.06.27
【安全スタッフ】
Ⅰ 事件の概要
被告Y1社に勤めていたAは、平成27年11月28日に致死性不整脈で死亡した。原告X1はその妻、原告X2、原告X3はその子である。Y1社は服飾雑貨製品の企画、製造、販売を業とする会社であり、亡Aの死亡当時、約20人の社員がおり、被告Y2はその代表取締役である。亡Aは、営業部に所属して営業チームで営業補佐として従事していた。
亡Aは、取引先や中国の仲介業者、検品業者など、複数の関係先と受発注金額、納期、品質などについてのやりとりをする業務に従事しており、担当案件も多く、また、アパレルメーカーの依頼はコスト面で厳しく、納期も厳格であったために、限られた時間のなかで、取引先との調整を行うという質的に過重な業務を行っており、また、かなりの長時間労働であった。
X1は、向島労働基準監督署長に労災請求をしたところ、致死性不整脈の発症を業務災害と認められ、X1には遺族補償年金と葬祭料が支給された。
X1、X2、X3らは亡Aの相続を放棄したが、扶養利益を侵害されたとして、被告Y1社、代表取締役Y2に対して、その損害賠償請求訴訟を提起した。
Ⅱ 判決の要旨
1、過重労働
亡Aは、…
執筆:弁護士 外井 浩志
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2023年7月1日第2429号 掲載