【裁判例を踏まえた非典型労働時間制の要点】最終回 変形労働時間制度③ 違反部分のみ無効に 契約の合理的意思解釈で/黒木 大輔
2023.06.22
【労働新聞】
所定労働時間分は 支払い済みと主張
第10回および第11回では、主に1カ月単位の変形労働時間制(労働基準法〈以下、「労基法」〉32条の2)の適用要件について判例(第10回では日本マクドナルド事件、第11回ではダイレックス事件およびブレイントレジャー事件)を紹介しつつ解説したが、第12回では、適用要件のほか、1カ月単位の変形労働時間制の適用が認められなかった場合の既払いの賃金への影響についても焦点を当て、裁判例を踏まえつつ解説する。
イースタンエアポートモータース事件(東京地判令2・6・25)は、旅客自動車運送事業などを営むY社にてシフト制で勤務していた社員Xらが、1カ月単位の変形労働時間制の適用を争い、1日8時間を超過する労働時間の賃金などの支払いを求めた事案である。
まず、本判決では、Y社就業規則は「配車職員の労働時間は毎月16日を起算日とする1箇月単位の変形労働時間制による」旨の記載のみで、月ごとに勤務割表を作成する場合に必要となる、「各直勤務の始業終業時刻及び休憩時間、各直勤務の組み合わせの考え方、勤務割表の作成手続き及び周知の方法」の記載を欠き、労基法32条の2第1項の要件を満たさないと判示した。…
筆者:髙井・岡芹法律事務所 弁護士 黒木 大輔
この記事の全文は、労働新聞の定期購読者様のみご覧いただけます。
▶定期購読のご案内はこちら
この連載を見る:
令和5年6月26日第3406号6面 掲載