【同一労働同一賃金対応 基本給に切り込む! 職務分析・職務評価】第1回 行政指導の強化 政府から「徹底」の指示 労基署が調査に乗り出す/橋岡 雅典
2023.06.29
【労働新聞】
裁判例は手当が中心
パートタイム・有期雇用労働法のいわゆる同一労働同一賃金規定は、2020年4月に大企業、21年4月に中小企業への適用が始まった(派遣労働者については、20年4月施行)。これまでこの規定や旧労働契約法第20条(不合理な労働条件の禁止)に基づき裁判で不合理と認定された例は手当が中心で、基本給の差を不合理とした例はほとんど存在しなかった。また、全面施行となった21年といえば、コロナ禍真っ只中であり、コロナ対応に注力せざるを得ない状況のなか、基本給の見直しを「様子見」「後回し」にしていた企業も多かったことだろう。
コロナ禍も収束を迎えるなか、同一労働同一賃金対応について、基本給部分に対する取組みが企業の喫緊の課題になりつつある。そのきっかけとなったのは昨年10月28に閣議決定された「物価高克服・経済再生実現のための総合経済対策」である。エネルギーや食料品の値上げが相次ぐなか、物価高騰が経済に与える影響に対応するため「物価高・円安への対応」「構造的な賃上げ」「成長のための投資と改革」が重点分野とされた。このうち、構造的な賃上げの項目で「物価上昇に負けない継続的な賃上げを強力に推進すること」とあわせて、「非正規雇用労働者の待遇の根本的改善を図るため、同一労働同一賃金の遵守を徹底する」ことが明記された。…
筆者:はしおか社会保険労務士事務所 社会保険労務士 橋岡 雅典
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令和5年7月3日第3407号11面 掲載