指定医の診察頑なに受けず

　実務上、労働者の欠務が業務上の傷病によるものなのか、私傷病によるものなのか、労使で異なる見解となることは多々あるし、使用者として判断に迷うことも多分にあるところである。本稿では、このような場合の対応に関連した判断を示した判例として、名古屋地方裁判所令和５年４月14日判決を紹介する。

　①本件の原告は、平成30年７月と９月の２回、業務上で交通事故に遭い、傷病を負った後、通院治療を続けながら出勤していた。②被告は令和元年７月、原告から「交通事故の障害を診断した医師の診療に科学的根拠がない」などの申し出を受け、しかるべき医学的知見を得るまで出勤を免除し、指定医の診察を指示した。…

筆者：第一芙蓉法律事務所 弁護士　湊 祐樹