【裁判例が語る安全衛生最新事情】第420回 ジャスティス事件 新認定基準で不規則、出張の多さ重視 神戸地裁令和4年7月27日判決
2023.07.11
【安全スタッフ】
Ⅰ 事件の概要
亡Aは、被告Y1社に警備員として勤務し、交通警備業務、施設警備業務に従事していたが、平成29年2月28日に心不全により死亡した。原告X1は亡Aの妻、原告X2~原告X4は子どもである。
Y1社は、警備保障業務を行う会社であるが、交通警備と施設警備の業務があり、亡Aは交通警備課の主任であったが、施設業務を行うこともあった。亡Aは、平成29年2月27日午後5時ごろから、丹波市の国道のトンネル内における非常用設備更新工事の点検業務に2人であたっていた。1人が点検作業をし、もう1人はその間、待機場所に駐車された社用車内で待機するという2時間交替の勤務体制であった。翌2月28日の午前7時ごろに相棒の作業員が待機場所に戻ったとき、待機していて仮眠していたはずの亡Aの呼吸が停止しており、死亡していた。死亡検案書によると、直接の死因は急性虚血性心疾患とされ、その原因は高血圧性心疾患とされている。
X1は、但馬労働基準監督署長に労災請求を行い、これが認められた。
X1らは、Y1社に対して安全配慮義務違反による損害賠償請求をするとともに、代表取締役である被告Y2に対しても損害賠償請求訴訟を提起した。
Ⅱ 判決の要旨
1、亡Aの長時間労働
亡Aの平成28年11月1日から平成29年2月28日までの平均時間外労働時間数は次のとおりである。…
執筆:弁護士 外井 浩志
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2023年7月15日第2430号 掲載