【ぶれい考】「非正規」の視点は十分か/鎌田 耕一
2023.07.06
【労働新聞】
政府は5月16日に「労働市場改革の指針」を発表し、その内容は6月16日に閣議決定した「骨太の方針」に盛り込まれた。一人ひとりが自らのキャリアを選択する時代には、職務ごとに要求されるスキルを明らかにすることで、労働者が自分の意思でリ・スキリングを行い、職務を選択できる制度に移行していくことが重要であり、そのために、①リ・スキリングによる能力向上支援、②個々の企業の実態に応じた職務給の導入、③成長分野への労働移動の円滑化、の三位一体の改革が必要だとしている。
確かに、個人が自らのキャリアを選択し、安定した職業生活を送ることができるような労働市場を構想することは大事である。しかし、同時に、労働市場を通じた人手不足の緩和、正規・非正規の処遇格差の是正も必要である。そう考えると、政府の方針にはなお肉付けすべきものがあると感じる。「職務給」への肩入れに対する違和感はここでは触れないが、リ・スキリングと成長分野への労働移動について簡単に触れてみたい。…
筆者:東洋大学 名誉教授 鎌田 耕一
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令和5年7月10日第3408号5面 掲載