【本バンザイ!!】読書人口の減少憂う昨今/鷲尾 賢也

2013.02.11 【労働新聞】
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 コミックもふくめて、書籍、雑誌が読まれなくなったことは疑えない。車内で一心に眺めているのは、ほとんどがスマホ。男女を問わず、小さな画面のこまかな字を眺めている。若者はゲーム。本を読み耽っている人はじつに少ない。いやになるほどである

 男女比でいえば、まだ女性の方が本を読んでいる。出版業界で給料を貰っていた私にとっては、車内での読書という習慣が消えて行く事態は、とてもおそろしい。

 なぜ、それほどまでに読書人が減少しているのだろうか。

 読書は習慣性がないと、かなり億劫な行為だ。私たちの世代には、室内で遊ぶものはほとんどなかった。必然的に読むことが唯一の楽しみであった。だから同じ本や、雑誌でも何度も繰り返し読んだものだ。ところが、昨今の部屋にはゲームがある。テレビがある。音楽もある。本や雑誌はそのなかのひとつなのである。

 しかもゲームのように一瞬の刺激が少ない。おもしろくなるまでに時間がかかる。面倒なものと思われてしまうのだろう。事実、読まなくても生活にそれほど支障があるわけではない。

 私が、大学で教えている教室にも、1年に1冊も読まないといった学生が少なくない。どうなってゆくのだろうか、かなり心配である。小さいころから読んでないと、本のおもしろさは、なかなか実感できないからだ。お子さんをお持ちの方、ぜひ、早くから読書の習慣をつけさせよう。読むことによって初めて、人間の判断力や思考力は身につくものではないか。私はそう信じている。

筆者:鷲尾 賢也

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平成25年2月11日第2908号7面 掲載
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