【対応力を鍛える人事学探究】第44回 懲戒処分と平等の原則 他の事案と比較を “濫用で無効”可能性あり/柏戸 夏子
2023.07.27
【労働新聞】
免許停止中に社用車を運転
懲戒は、その対象となる当該行為の性質および態様その他の事情に照らして社会通念上相当なものと認められない場合には、無効となる。いわゆる相当性の原則であり、仮に懲戒の対象となった行為について、会社の定める懲戒事由に該当することが肯定されたとしても、行為に対する処分内容に社会通念上相当性があると認められない場合、つまり対象行為に対して処分内容が重すぎる場合は、懲戒権の濫用としてかかる処分は無効となる。
処分の相当性を判断する要素は種々あるが、考慮すべき要素の1つとして、同程度の違反には同程度の処分であるべきという公平性の観点がある。公平性の観点が問題となった最近の事例として、トヨタモビリティ事件(東京地判令4・9・2)を紹介する。
同事件は、営業職として勤務していた社員が、…
筆者:第一芙蓉法律事務所 弁護士 柏戸 夏子
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令和5年8月7日第3411号12面 掲載