【裁判例が語る安全衛生最新事情】第422回 東海交通機械事件 指導担当の暴行放置し安配義務違反 名古屋地裁令和4年12月23日判決
2023.08.10
【安全スタッフ】
Ⅰ 事件の概要
被告Y1社は、その株主であるA社およびAのグループ会社から、主として新幹線および在来線鉄道車両の改良、メンテナンスなどの車両関係業務、散水式融雪装置の点検、メンテナンスなどの機械関係業務を請負っている会社である。
原告Xは、平成15年4月にY1社に入社したが、平成27年4月にB営業所に配属になったときに同じ主任である被告Y2が指導担当であった。
Y2は、平成28年7月以降、Xに対してさまざまな嫌がらせ、暴力などのパワーハラスメントを行ってきた。
平成28年12月29日、Y2は、Xに対して、何度も頭を殴り、平手打ちをするなどの暴行を加えた。それをみていた営業所長Bや上司C係長はその暴行などを止めることはしなかった。その結果、同日、Xは、耳鼻咽喉科を受診し、左外傷性鼓膜損傷及び内耳損傷と判断された。さらに、平成29年1月5日には適応障害、平成30年4月27日にはパニック障害、広場恐怖症と診断された。
Xは、労基署長に労災申請し、Xのパニック障害がY2から受けた暴行により発症したものとして業務起因性を認め、労災が認められている。
Xは、Y2からの暴行やいじめによるパワハラにつき不法行為に基づく損害賠償、Y1社に対してはその使用者責任または安全配慮義務違反による損害賠償請求訴訟を提起した。
Ⅱ 判決の要旨
1、被告Y2のパワハラによる責任
Y2は、…
執筆:弁護士 外井 浩志
この記事の全文は、安全スタッフの定期購読者様のみご覧いただけます。
▶定期購読のご案内はこちら
この連載を見る:
2023年8月15日第2432号 掲載