【どう向き合う!合同労組―対応の基本原則―】第1回 労働組合の状況と合同労組の意義/岡芹 健夫
2013.07.01
【労働新聞】
しかし、そうしたなかで、労働委員会の調整事件において、合同労組の関与する事件の割合は着実に増えており、なかでもめだつものが、労働者が何らかの不利益(解雇、賃下げなど)を受けた後になって労働組合に駆け込み、その上で労働委員会に申し立てる事件である。前掲の「報告」によれば、合同労組が関与する案件は、従前は年間100件程度であったものが、平成22年時点で約200件にまで増加しており、また、筆者の体験によっても、労働者がその個人的権利の主張のために労働組合へ駆け込むことで発生する企業と労働組合との間の紛争案件は、この10年で明らかに増加したというのが実感である(以下、本稿において、こうした案件を仮に「駆込み労組案件」という)。
なお、付言すれば、厳密にはこのような駆込み労組案件は、前述したような、解雇、賃下げといった労働者への不利益措置があった場合に限らず、労働者が企業を退職した後に、在職中の残業代が未払いであったとして残業代を請求してくるような事例でもみられる。
そして、このような駆込み労組案件のなかでも、紛争が激化することがとくに多いのが、合同労組に加入した場合の案件である。
一般組合が受け皿担う
2 労働組合の種類と合同労組
一般に、労働組合とひとくくりに呼ばれているものについても、その構造からすれば、いくつかの種類に分けられる。分類の方法も多々あろうと思われるが、本稿では、「職業別組合」、「産業別組合」、「一般組合」、「企業別組合」に分けることとする。
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平成25年7月1日第2927号4面 掲載