規制改革会議が、３月下旬に、雇用分野の重点検討項目の一つに解雇の金銭解決を提案したのを受けて、国会でも取り上げられて論議されている。正直、私は、平成15年の議論の盛り上がりを思い出し、デジャブの感覚にとらわれてしまう。どうやら景気回復の期待が勢いを得ると、必ず出没する議論のようである。

　それにしても、国会の論戦などをニュースでみていると、議論状況にいら立ちを禁じ得ない。というのも、解雇の金銭解決の問題について、議論がすり替えられているようにみえるからである。…

筆者：九州大学大学院法学研究院 教授　野田 進