「State of the Arts」と「ALARP」

　今回は安全衛生診断の話から少し離れて、企業の労働安全衛生管理に関する２つの考え方と、健康増進についてお話します。

　まず、労働安全衛生管理についてですが、基本の枠組みは基準・方針の制定、仕組みの確立、基準や仕組みの教育、教育した通りの業務かをモニターする、組織の健康診断としての監査などが考えられます。特に基準は、どの程度の安全衛生確保が必要かというベースになるものです。

　基本的には法令や規格がありますが、安全配慮義務の履行を考えるならば、企業独自の基準を設定することも一つの方向性です。安全衛生の確保といっても、災害防止の厳しい基準を設定して実践するのにも限界があります。無限の安全衛生を有限の費用で達成することは到底不可能だからです。そこで、大いなる知恵と工夫が必要となります。…

執筆：（一社）日本労働安全衛生コンサルタント会東京支部顧問
労働衛生コンサルタント　山室 栄三