【男性育休推進で再考する 労働者の自律的なキャリア形成】第5回 職場復帰をめぐる問題 「女性と同じ」には反感 期間で同僚の態度が変化/諏訪 康雄
2023.08.31
【労働新聞】
数日なら7割が好意的
男性が育児休業を取るとき、その期間の長さにより、職場の認識は異なってくる(別図=パーソル総合研究所「男性育休に関する定量調査」2023年)。
数日間程度なら、同僚も上司も7割ほどが「取ってほしい」という姿勢を示してくれるらしい。時代はここまで来た。だが、取得期間が長引くにつれ、理解の姿勢は落ちていく。多くの女性と同じ長さ――1年ともなると、同僚の3人に1人、上司の4人に1人ほどしか理解を示してくれない。
興味深いことに、男性本人が感じる育休の取りやすさは、上司・同僚の思いの程度よりもずっと低い。本連載の第2回で触れた「多元的無知」(周囲の多くがそうは考えていないことを、誰もがそう考えているに違いないと本人が思い込む傾向)は、男性の育休をめぐっても、確かに存在するようだ。
たとえば、転職理由調査では「社内の雰囲気が悪い」や「人間関係が悪い」が2割程度挙がっている(厚生労働省「令和2年転職者実態調査」で23%、デューダ「転職理由ランキング」2023年公開も23%など)。しかし、これが全社的な問題の場合もあれば、特定の部署だけがそうであったり、特定の上司・同僚だけを指していわれていることもある。育休をめぐっても同様の状況がある。…
筆者:法政大学 名誉教授
認定NPO法人 キャリア権推進ネットワーク 理事長 諏訪 康雄
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令和5年9月4日第3415号6面 掲載