【男性育休推進で再考する 労働者の自律的なキャリア形成】第6回 若手の意識変化への対応 怠れば人材確保厳しく 同僚へのしわ寄せ防止を/諏訪 康雄
2023.09.07
【労働新聞】
制度充実も取得率低く
「出る杭は打たれる」から、「無事これ名馬」に徹し、「長いものには巻かれろ」と無難に過ごすことが賢明だとされる社会では、物事の変革が容易に進まない。リスク回避の傾向が強く(山岸俊男他『リスクに背を向ける日本人』講談社現代新書)、自分からは何もしないほうが得だとの「消極的利己主義」がはびこるといわれている(太田肇『何もしないほうが得な日本』PHP新書)。
男女間の性別役割分業の意識と慣行に加え、仕事負荷の重さや長時間労働を当然視する仕事優先主義は、日本の少子化や貧弱なワーク・ライフ・バランスの要因だと長らく指摘されながらも、なお社会に根を張る。
男性の育児休業取得は、法制度上、多くの国をしのぐ水準になった。その一方で、実際の取得率は低迷している(過去最高の昨年が約17%)。スウェーデンやノルウェーの90%には遠く及ばない。
このまま急激な少子化の進行を傍観するばかりでいたら、…
筆者:法政大学 名誉教授
認定NPO法人 キャリア権推進ネットワーク 理事長 諏訪 康雄
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令和5年9月11日第3416号6面 掲載