【来春の制度改正に対応 労働条件明示のルール】第2回 募集段階における特定の程度 採用活動にも影響 「変更の範囲」を必ず記載/柊木野 一紀
2023.10.05
【労働新聞】
有期は更新基準明記を
今回は、労働条件の明示のうち、労働基準法15条1項の労働契約締結段階に先立つ、職業安定法5条の3が定める労働者の募集段階における明示を取り上げたい。
労働者の募集を行う者等(募集主)は、募集に当たり、募集に応じて労働者になろうとする者に対し、従事すべき業務の内容および賃金、労働時間その他の労働条件を明示しなければならない(職安法5条の3第1項)。ここでいう労働者募集とは、「労働者を雇用しようとする者が自らまたは他人に委託して、労働者になろうとする者に対してその被用者となることを勧誘すること」とされ、文書募集(雑誌広告やインターネットの掲載記事等を含む)と募集主が自ら文書以外で勧誘する直接募集等がある(厚生労働省職業安定局「募集・求人業務取扱要領」令和4年12月。<以下「取扱要領」という>1~3頁)。
労働契約は労使間で締結される契約であり、その労働条件が労使で対等に決定されるべきであるのは当然であるが(労基法2条第1項等)、現実には労使の力関係は対等ではなく、労働条件が不明確となり、あるいは使用者によって労働条件が一方的に変更されることなどにより、紛争が生じることがあり得る。
また、使用者が誇大な条件で労働者を募集しながら、…
筆者:石嵜・山中総合法律事務所 弁護士 柊木野 一紀
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令和5年10月9日第3420号6面 掲載