【「当たり前」を問い直す! “制約社員”基準の雇用管理】第7回 業務明確化の手法 2段階のゴールを 達成度と貢献度で設定/鬼丸 朋子
2023.10.12
【労働新聞】
緊急対応の発生踏まえ割当てを
前回は、「標準モデル」対象者をマラソンの通常コースにエントリーした集団、「非標準モデル」対象者を5kmコース・8kmコースといった別のレースにエントリーした集団、といささか乱暴な例えをもって概観した。多くの日本企業は、社員区分に基づいて設定された、比較的同質性の高い集団内における労働者間競争の場を作り出し、それぞれの集団に対して相対評価に基づいて処遇してきた面があったように思われる。
相対評価の場合、必ずしも仕事の質や量といった企業への貢献度を厳密に測定しなくても、同一競争集団の範囲内で貢献度の高い順番に序列付けできれば事足りると捉えているケースがあるような印象を受ける。各人へ割り当てる業務の質・量の厳密なマネジメントや、評価に要するコストを削減しながら、処遇を決定してきたケースがあったかもしれない。
だが近頃では、以前と比べて企業への貢献度を重視して処遇に反映するため、各人に割り当てた仕事の質や量などを厳密に測定することが求められることが多くなってきている。これまでのように、…
筆者:中央大学経済学部 教授 鬼丸 朋子
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令和5年10月16日第3421号13面 掲載