【「当たり前」を問い直す! “制約社員”基準の雇用管理】第8回 2段階ゴールの効果 適切な評価が可能に 労働者とのすれ違い防ぐ/鬼丸 朋子
2023.10.26
【労働新聞】
「配慮は十分」の思い込みに注意
業務の達成度合いを測定・評価する際に、①一定の時間内にあらかじめ設定された質・量の業務を遂行できたかどうか、加えて②当初想定した以上の高い貢献度を実現していた場合、それはどの程度であったか、という2段階のゴールを設定することは、次のような効果につながるのではないかと思われる。
まず、「非標準モデル」対象者に対する過小評価を防ぐことにつながる可能性がある。たとえば、育児のために短時間勤務制度を取得中の女性正規労働者から、「現在は短時間勤務であるにもかかわらず、フルタイム勤務していた時と業務量がまったく変わらない」、「短時間勤務だから、限られた時間内にこれまで以上に集中して、フルタイムの時と同等かそれ以上の業務をこなしているのに、評価が大きく下がった」といった不安・不満が聞こえてくるケースがあるだろう。
彼女達からすれば、「標準モデル」対象者であった頃と比較して、…
筆者:中央大学経済学部 教授 鬼丸 朋子
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令和5年10月30日第3422号13面 掲載