【対応力を鍛える人事学探究】第56回 職種を限定する黙示的合意 高度な専門性を重視 権利濫用で配転無効も/林 拓也
2023.11.02
【労働新聞】
外科診療など禁止する命令
従来、日本企業においては、職務内容、勤務地を限定せずに雇用するメンバーシップ型雇用が一般的であった。現在はコロナ禍を経てリモートワークの活用が進み、業務内容・勤務地・労働時間などの条件を定めて雇用する、いわゆる「ジョブ型雇用」の導入が増加し、キャリア形成や育児介護との両立などの観点から、そのような雇用を望む労働者も増えている。
通常、使用者は、業務上必要がある場合に、労働者に対して配置転換を命令することができる旨の規定を就業規則で定め、それが労働契約の内容となることで、広範な配転命令権を行使することができる。ただし、個々の労働者との間において、職種や勤務地を限定する合意がある場合には、その限定の範囲内でのみ配転命令が可能となる。
それでは、どのような場合に、職種や勤務地を限定する合意が成立していると認められるのだろうか。黙示的な合意が認定されたケースとして、…
筆者:第一芙蓉法律事務所 弁護士 林 拓也
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令和5年11月6日第3423号12面 掲載