【安全衛生カルテ―事業場指導の現場から―】最終回 作業手順書の意義
2023.11.28
【安全スタッフ】
ジェットコースターの死亡事故
作業手順書は、多くの作業現場で統一した作業を行うために必須の文書であることは誰もが認識していると思います。この文書がないと、作業はバラバラになり、安全、品質、生産性が確保されず、作業、運転が進捗しないことになります。
労働災害ではありませんが、今回はこの作業手順書が不備であったために発生した事故を紹介します。記憶に残っている方も多いと思われますが、あるアトラクション施設のジェットコースターで起こった痛ましい死亡事故です。
乗客の1人に体格の良い人がいました。その人はジェットコースターの座席に収まって、安全バーを掛けようとしましたが、太っていたため掛かりませんでした。安全バーを無理にでもかけるか、係員を呼んで降りると伝えるか、あるいは係員が乗車を遠慮するよう厳しく伝えるかすれば、事故は防げていたとみられます。
しかしながら、いずれも実施されず、その乗客はそのまま安全バーを掛けずに座席に収まり、ジェットコースターがちょうど真上で宙返りしたときに地上に落下してしまったのです。…
執筆:(一社)日本労働安全衛生コンサルタント会東京支部顧問
労働衛生コンサルタント 山室 栄三
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2023年12月1日第2439号 掲載