【対応力を鍛える人事学探究】第60回 携帯電話所持時の不活動待機 労働時間とはいえず 場所制限や飲酒禁止でも/坂井 瞭平
2023.11.30
【労働新聞】
駐車場メンテの呼出し待ち
ビジネスアワー以外の緊急対応を要する業種では、社員に所定労働時間外に携帯電話を所持させ、連絡が来た際の対応を求めることがある。ある程度居場所が制限され、飲酒もできないため、携帯電話を所持する時間は労働時間ではないかと考える社員も少なくないと思われるところではあるが、その点が争われた裁判例として、システムメンテナンス事件(札幌高判令4・2・25)を紹介する。
同事件は、機械式駐車場のメンテナンス業務を事業とし、24時間365日の故障・緊急時対応を行うY社において、夜間・休日対応の当番を割り当てられ携帯電話を交付された社員のうちXが、実作業および移動に要した時間以外の時間(不活動待機時間)も労働時間に当たるとして、未払賃金の支払いを求めた事案である。当番は、平日夜間の午後5時30分~翌午前8時30分まで、休日の午前8時30分~翌午前8時30分までだった。なお、休日の日中(午前8時30分~午後5時30分まで)と夜間の実作業および移動に要した時間には、割増賃金が支払われている。
裁判所は、…
筆者:第一芙蓉法律事務所 弁護士 坂井 瞭平
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令和5年12月4日第3427号12面 掲載