【対応力を鍛える人事学探究】第63回 育休からの復帰と配置変更 「一方的」は不利益に 両立への配慮だとしても/柏戸 夏子
2023.12.21
【労働新聞】
等級同一だが部下を付けず
雇用の分野における男女の均等な機会および待遇の確保等に関する法律(均等法)9条3項や、育児休業、介護休業等育児または家族介護を行う労働者の福祉に関する法律(育介法)10条は、前者は妊娠出産、後者は育児休業を理由として、解雇その他の不利益な取扱いをすることを禁止している。今回は、妊娠、出産、産前産後休業および育児休業(以下「育休など」)から復帰した社員の配置変更が、均等法9条3項および育介法10条に違反する不利益取扱いに該当するかが問題となった最近の事例として、アメリカン・エキスプレス・インターナショナル事件(東京高判令5・4・27)を紹介する。
同事件は、育休などに入る前は30人以上の部下を統率するチームリーダーを任されていた社員が、復帰後にチームリーダーの任を解かれ、部下を1人も持たないアカウントマネージャーへ配置変更されたうえ、自ら電話営業をする業務などを命じられた事案である。同社員は、前述の配置変更は不利益取扱いに該当すると主張し、損害賠償などを求めた。
一審(東京地判令元・11・13)は、配置変更前後を通じて職務等級に変更がなく、…
筆者:第一芙蓉法律事務所 弁護士 柏戸 夏子
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令和5年12月25日第3430号12面 掲載