【提言 これからの雇用・労働法制】第21回 団体交渉について(中) 労働契約が前提に 不当労働行為の成立で/小嶌 典明
2015.06.08
【労働新聞】
旧労組法と現行労組法
昭和20年12月に公布され、翌21年3月に施行された旧労組法は、「団結権ノ保障」とともに「団体交渉権ノ保護助成」を、同法の目的を規定した1条1項において明記する。
確かに、旧労組法が「団体交渉」という言葉を使用した規定は、上にみた1条1項のほか、「刑法第35条ノ規定ハ労働組合ノ団体交渉其ノ他ノ行為ニシテ前項ニ掲グル目的ヲ達成スル為為シタル正当ナルモノニ付適用アルモノトス」と定めた1条2項、および「団体交渉ノ斡旋其ノ他労働争議ノ予防」を労働委員会の所掌事務として定めた27条1項2号にとどまる。
しかし、当時は敗戦後の占領下にあって、GHQが労働組合運動を強力に後押しした時代。これに勝る「団体交渉権ノ保護助成」はなかったともいえる。
このことに勢いを得た一部の労働組合(左翼労組)は、過激な方向に走る。…
筆者:大阪大学大学院法学研究科 教授 小嶌 典明
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平成27年6月8日第3020号4面 掲載