【刑法改正と企業のセクハラ対応】第1回 強まる介入の要請 職場の力関係が典型例 「不同意」表明困難な状態/大浦 綾子

2024.01.11 【労働新聞】
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 職場における労働者の意に反する性的な言動は、セクシュアルハラスメント(以下「セクハラ」とする)に該当する場合があり、事業主は、これを防止するための措置義務を負う(男女雇用機会均等法第11条第1項)。これにより、事業主が講ずべき措置は、セクハラ防止のための社内研修をすることや、被害申告のあった事案の調査をして事後対応をすることなどである。職場におけるセクハラが性犯罪に該当することもあり、これが警察により検挙されれば、行為者に対する捜査・裁判という刑事手続きと、事業主によるセクハラ調査が同時に行われることになる。

 2023年7月13日、改正刑法が施行され、刑法176条は不同意わいせつ罪に、同177条は不同意性交等罪に改められた(以下「本件改正」)。本連載では、本件改正が、職場内のセクハラ問題への対応にどのような影響をもたらすのかを、企業のセクハラ対応を数多くサポートしてきた経験をもとに全5回で解説する。

 本件改正で改められたのは、強制わいせつ・性交等罪および準強制わいせつ・性交等の際における暴行・脅迫と、被害者側の心身喪失・抗拒不能の要件である。改正後の不同意わいせつ・性交等罪では、それらを改めて、性犯罪の本質的な要素を「同意しない意思を形成し、表明しもしくは全うすることが困難な状態」という表現を用いて統一的な要件とした。また、被害者がそのような状態にあったかどうかの判断を行いやすくするため、その原因となり得る行為や事由についても、具体的に挙げることとされた。

 改正後の要件について、…

筆者:野口&パートナーズ法律事務所 弁護士 大浦 綾子

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令和6年1月15日第3432号6面 掲載
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